営業転職市場の最新動向と職種選び
営業職の種類を整理する|法人・個人、有形・無形、新規・既存
営業職は一つの職種名でまとめられがちですが、実際には顧客の種類・商材の形・担当する工程の三つの軸で働き方が大きく変わります。自分に合う営業を選ぶには、まずこの分類を押さえることが出発点になります。
三つの分類軸
- 顧客の種類:BtoB(法人営業)は企業を相手にし、検討期間が長く関係者も多い。BtoC(個人営業)は個人を相手にし、意思決定が速い一方で件数を積む動きが求められやすい。
- 商材の形:有形商材は製品そのものを見せられるため説明がしやすい。無形商材はサービスや仕組みを売るため、課題を言葉にして価値を組み立てる力が必要になる。
- 担当する工程:新規開拓は接点をつくる仕事、既存顧客(ルート営業・カスタマーサクセス寄り)は関係を深めて継続・拡大させる仕事。
| 分類 | 向きやすい人 | 大変さが出やすい点 |
|---|---|---|
| BtoB・無形・新規 | 考えて組み立てるのが好き、学習意欲が高い | 成果が出るまでの期間が長く、提案力の習得に時間がかかる |
| BtoB・有形・既存 | 丁寧な関係構築が得意、計画的に動ける | 担当範囲が固定され、変化が少なく感じることがある |
| BtoC・有形・新規 | 行動量を出せる、短いサイクルで成果を感じたい | 件数目標の比重が大きく、繁忙の波が出やすい |
| BtoC・無形・既存 | 相談役として寄り添うのが得意 | 契約内容の説明責任が重く、知識の更新が必要 |
インサイドセールスとフィールドセールスの分業化
近年は営業プロセスを「インサイドセールス(内勤)」と「フィールドセールス(外勤)」に分ける企業が増えています。未経験からの入り口としてインサイドセールスを置く企業も多く、段階的に経験を積みやすい構造になっています。
インサイドセールスは電話・メール・Web会議ツールを用いて非対面で行う内勤営業、フィールドセールスは顧客と直接またはオンラインで提案から契約までを担う外勤営業を指します。どちらが上位ということはなく、求められる力の種類が違います。
| 比較項目 | インサイドセールス | フィールドセールス |
|---|---|---|
| 主な接点 | 電話、メール、オンライン会議 | 訪問、商談、オンライン商談 |
| 評価されやすい指標 | 接触数、商談設定数、質の高いヒアリング | 受注額、提案内容、顧客単価の伸び |
| 移動の負荷 | 少なく、勤務時間が読みやすい | 移動が入り、日によって変動する |
| 未経験の入りやすさ | トークの型化が進んでおり入りやすい | 商材知識と提案経験が前提になる場合がある |
| 身につく力 | 傾聴、仮説立て、記録と改善の習慣 | 交渉、合意形成、関係者調整 |
20代未経験におすすめの業界と、選び方の判断軸
未経験から長期的な市場価値を考えるなら、無形商材で提案力が磨かれる業界が選びやすく、代表例はIT・SaaS業界と人材業界です。ただし「おすすめ」は人によって変わるため、業界名で決めるのではなく判断軸で決めることをおすすめします。
業界ごとの特徴
| 業界 | 商材の性質 | 身につきやすい力 | 事前に確認したい点 |
|---|---|---|---|
| IT・SaaS | 無形・継続課金 | 課題整理、仮説提案、データを使った改善 | 学習量の多さ、商材知識のキャッチアップ体制 |
| 人材 | 無形・対人調整 | ヒアリング、関係者間の調整、意思決定支援 | 候補者と企業の両面対応かどうか |
| メーカー | 有形・技術要素あり | 製品知識、長期の関係構築、業界理解 | 配属エリアと異動の頻度 |
| 広告・マーケティング支援 | 無形・提案型 | 企画力、資料作成、効果の説明力 | 繁忙期の集中度、担当社数 |
| 住宅・不動産 | 有形・高単価 | 高額商談の進め方、信頼獲得の作法 | 休日の設定、来店対応の有無 |
| 金融・保険 | 無形・規制あり | コンプライアンス意識、資産面の提案 | 必要資格の取得スケジュール |
| 環境・エネルギー関連(GX領域) | 有形・無形の混在 | 制度理解、長期プロジェクトの推進 | 事業の立ち上がり段階と組織規模 |
業界を絞り込む判断軸
- 商材を自分の言葉で説明できそうか:面接でも入社後も、ここが土台になります。
- 顧客の課題に興味が持てるか:興味の持てない課題を毎日ヒアリングし続けるのは負荷が高くなります。
- 評価が結果だけか、行動プロセスも含むか:未経験期は行動評価がある方が立ち上がりやすい傾向があります。
- 5年後に積み上がる経験は何か:製品知識、業界知識、提案スキルのどれが残るかを考えます。
- 生活のリズムに合うか:移動量、休日の設定、繁忙の波を具体的に確認します。